不動産投資におけるデッドクロスとは?

不動産投資をするなら知っておきたい”デッドクロス”

不動産投資をしている方にとって、“デッドクロス”は大きな悩みの一つといえるのではないでしょうか。

デッドクロスになってしまうと節税効果が薄くなり、税金が高くなるため対策は必須です。

しかしながら、デッドクロスの詳しい内容や対策方法については、「まったく知らない」という方もいらっしゃいますよね。

そこで今回は、不動産投資におけるデッドクロスの内容や対策方法について、具体的に解説していきます。

 

不動産投資におけるデッドクロスとは?

不動産投資におけるデッドクロスとは、減価償却費よりもローン元金の返済の方が大きくなることをいいます。

減価償却費とは、実際にお金はでていかないけれども、経費として算入できる科目のこと。

反対に、ローン元金の返済は、お金はでていきますが、経費として算入することができません。

デッドクロスの時期を超えると、ローン元金の方が減価償却費よりも大きくなります。

算入できる経費よりも、出ていくお金の方が大きくなるため、キャッシュフローが厳しくなります。

どのくらいキャッシュフローが厳しくなるか、具体的に確認していきましょう。

例えば、築年数が30年の木造2000万円のアパートを15年のフルローンで購入し、毎年減価償却費を除いた利益が200万円あったとします。

減価償却費が1年で150万円と仮定して、シミュレーションをしてみます。

1年目~4年目までは減価償却費150万円を計上でき、元金の返済は約130万円程度となります。

減価償却前の利益が200万円で、確定申告上の所得50万円となり、青色申告の65万円で控除することで所得税はゼロとなります。

200万円がまるまる残るので、ローンの130万円を支払っても70万円手元に残る計算になります。

しかしながら、デッドクロスを超える5年目以降は、途端にキャッシュフローが厳しくなります。

減価償却費が計上できなくなりますが、元金の返済約130万円はしなければいけません。

手残り200万円に対して、減価償却費が計上できないので、200万円に対して税金がかかってきます。

65万円の青色申告控除をしても、145万円の所得となり、約22万円の所得・住民税がかかります。

つまり、200万円-22万円の178万円の手残りしかありません。

ローンの130万円を支払うと、48万円の手残りしかなくなってしまう計算になります。

このように、物件は変わっていないけれども、所得税・住民税が高くなる現象のことをデッドクロスといいます。

特に減価償却費が高い物件の場合、デッドクロスを超えるとキャッシュフローが一気に苦しくなることも珍しくありません。

ですので、耐用年数が短い物件の場合、対策は必須といえるでしょう。

では、どうしてこのようなデッドクロスが発生するのか?原因を解説していきます。

 

デッドクロスが発生する原因

デッドクロスが発生する原因は、主に下記の3つです。

・元利均等返済を採用している

・長期的なローンを組む

・耐用年数が短い中古物件を購入する

 

元利均等返済を採用している

元利均等返済を採用している場合、デッドクロスが発生しやすい状況になります。

ローンの返済方法は、主に元金均等返済元利均等返済の二つがあります。

元金均等返済とは、元金の返済はローンを返済するまで同じで、金利の部分の返済が年々少なっていく方式。

月々の支払いが少しずつ軽くなってくる一方で、最初の支払いは大きくなります。

元利均等返済とは、返済する金額は毎月一緒ですが、金利の返済が毎月減る代わりに、元金の返済が毎月増える方式のことです。

例えば、2,000万円の不動産投資ローンを20年の金利3%で借りたと仮定します。

元金均等返済の場合、総返済額は26,024,760 円で、最初の返済額は133,332円から徐々に少なくなってきます。

元金と金利の推移は、下記の通りです。

・初回の支払い 元金部分83,333円 利息部分49,999円 

50か月の支払い 元金部分83,333円 利息部分37,708

100か月の支払い 元金部分83,333円 利息部分25,208

150か月の支払い 元金部分83,333円 利息部分12,708

200か月の支払い 元金部分83,333円 利息部分208

このように、元金の支払いは一定ですが、利息部分の支払いが年々少なくなってきます。

元利均等返済の場合、総返済額は26,620,560 円で、毎月の返済額は110,919円となります。

元金と金利の推移は、下記の通りです。

・初回の支払い 元金部分60,919円 利息部分50,000

50か月の支払い 元金部分70,589円 利息部分40,330

100か月の支払い 元金部分81,997円 利息部分28,922

150か月の支払い 元金部分95,249円 利息部分15,670

200か月の支払い 元金部分110,926円 利息部分276

元利均等返済では、支払い総額は一定ですが、年々元金の支払い部分が大きくなっていることがわかります。

以上からわかるように、元利均等返済は元金の支払いが年々大きくなってくるため、デッドクロスが早めに発生しやすいという特徴があります。

支払い方法を元利均等返済にしたため、デッドクロスが発生したというのもよくある傾向といえるでしょう。

 

長期的なローンを組む

長期的なローンを組むと、デッドクロスが発生しやすくなります。

耐用年数よりもローンの期間が長いと、必ず起こる現象となっています。

新築の場合、建物ごとの法定耐用年数は下記の通りです。

・軽量鉄骨プレハブ造(骨格材肉厚3mm以下)・・19

・軽量鉄骨プレハブ造(骨格材肉厚3mm4mm以下)・・27

・重量鉄骨造(骨格材肉厚4mm超)・・34

・鉄筋コンクリート造・・47

・木造・・22

これらの耐用年数を超える長期的なローンを組んだ場合、必ずデッドクロスが発生します。

特に、木造の建物は耐用年数が短い傾向にあります。

購入するときには必ず、いつ頃にデッドクロスが発生するのかということは注意しなければいけません。

 

築年数が古い中古物件を購入する

築年数が古い中古物件を購入するときも、デッドクロスが発生しやすいです。

中古物件の耐用年数の算出には、基本的に下記の計算式を使います。

1.法定耐用年数の全部をすでに経過した資産

耐用年数 = 法定耐用年数 × 20

2.法定耐用年数の一部のみを経過した資産

耐用年数 = 法定耐用年数 - 経過年数 + 経過年数 × 20

1年未満については全て切り捨て

つまり、木造アパートの耐用年数が超えた物件の場合、

耐用年数=22×20%=4.4=4(1年未満)となり、耐用年数が4年と計算されます。

5年目からは、デッドクロスが発生するという状況になっています。

このように築年数が古い中古物件を購入するときは非常に短いスパンでデッドクロスが発生するというのがわかります。

デッドクロスはキャッシュフロー上で不利になるので、必ず対策をしておくことをおすすめします。

デッドクロスの対策方法について、具体的に次の章で解説していきます。

 

デッドクロスを回避するためにすべき6つの行動

デッドクロスを回避するための代表的な方法は、下記の6つです。

・短期で不動産を売却する

・耐用年数が長めの物件を購入する

・頭金を多めに入れる

・利回りが高い物件を購入する

・青色申告控除を活用する

・減価償却可能な物件を購入する

 

短期で売却する

減価償却が終わる前に短期で売却することで、デッドクロスを回避できます。

例えば、耐用年数が4年の中古アパートの場合は4年目で物件を売却する、耐用年数が10年のワンルームマンションの場合は10年目で物件を売却するというように、減価償却が終わる年に売却すると、デッドクロスを避けることができます。

この対策をとる場合は、必ず法人化しておくことをおすすめします。

というのも、個人事業主の場合、保有期間4年以下で売却すると税金が高くなるためです。

保有期間4年以下で売却すると、短期譲渡所得で、所得に対して40%が課税されます。

保有期間5年以上で売却すると、長期譲渡所得で、所得に対して20%の課税で済みます。

つまり、短期譲渡の場合、長期譲渡と比較して2の税金がかかるということ。

木造で築年数を超えている物件の場合は、耐用年数が4年となるので、4年目で売却すると短期譲渡所得の40%が課税されます。

 

耐用年数が長めの物件を購入する

耐用年数が長めの物件を購入すると、デッドクロスの発生を防ぐことができます。

耐用年数が長い物件は、デッドクロスが発生する時期も遅いためです。

耐用年数が長い代表的な例は、築浅の物件鉄筋コンクリート造の物件です。

築浅の物件は耐用年数が長めのため、デッドクロスはすぐにはきません。

また、鉄筋コンクリート造の物件は耐用年数が47と、多少築年数が経過していても、長めの耐用年数だと言えるでしょう

デッドクロスを防ぐためには、鉄筋コンクリート造や築浅の物件のような、耐用年数が残っている物件を購入することをおすすめします。

 

頭金を多めに入れる

デッドクロスを回避するための方法として、頭金を多めに入れるという対策方法があります。

頭金を多めに入れることで、総借入金額を小さくしたり、繰り上げ返済しやすくしたりするためです。

借入金額が少なければ、デッドクロスの影響はほとんどありません。

繰り上げ返済できるだけの借入の場合、デッドクロスの直前に繰り上げ返済をするという方法もあります。

デッドクロスの影響を小さくするという意味でも、頭金を多めにいれておくのは効果的といえるでしょう。

 

利回りが高い物件を購入する

利回りが高い物件を購入することで、デッドクロスに備えることができます。

デッドクロスで特に問題なのは、キャッシュフローが足りなくなること。

利回りの低い物件を購入してしまうと、デッドクロス後に、決算書上利益は出ているけれども、キャッシュフローは赤字という状況になりかねません。

一方で利回りの高い物件の場合、もしデッドクロスが発生しても、影響を最小限にすることができます

ですので、あらかじめ利回りの高い物件を購入するということが重要といえるでしょう。

 

青色申告控除を活用する

青色申告控除を活用して、所得を小さくするというのも有効的な対策です。

青色申告にする代表的なメリットには、下記があげられます。

・青色申告特別控除により、10万円または65万円が控除できる

・家族への給与を経費に算入できる青色専従者控除がある

3年間赤字の繰越が可能

30万円未満の資産を減価償却せず、一括償却が可能

このように、白色申告よりも経費算入できるものが増えます。

減価償却費の代わりに、さまざまな控除や経費を活用することで、デッドクロス後の税金の上昇を抑えることができるのです。

特に有効な対策としてあげられるのが、専従者給与。

デッドクロス後は、専従者給与として家族に給与を支給することで、本人の所得を抑えることができます。

配偶者の方が専業主婦で無職の場合、103万円まではほとんど税金がかかりません。

また、減価償却費と同じように外にお金が出ていきません。

そのため、減価償却費の代わりとなりやすい経費といえるでしょう。

 

減価償却可能な物件を購入する

減価償却可能な物件を新たに購入し、他の物件で減価償却を計上するという手があります。

これは、規模を拡大させたい不動産投資家がよく使う方法です。

デッドクロスの時期になる前に、新しく減価償却できる物件を購入して、デッドクロスの影響を薄める対策があります。

ただし、この対策はデッドクロスの影響がなくなるわけではなく、棟数を増やして、影響を薄めているだけです。

また、棟数を買い進めなければならず、購入が止まった瞬間にデッドクロスがきてしまう可能性が高いです。

規模を拡大させたい方以外には、不向きの対策だといえるでしょう。

 

不動産投資におけるデッドクロスまとめ

今回は、不動産投資におけるデッドクロスの意味や、対策方法について解説してきました。

ポイントは下記のとおりです。

・不動産投資のデッドクロスとは減価償却費より借入金の元金返済が大きくなること

・所得税が増えるため、キャッシュフローが厳しくなる

・主に耐用年数が短い中古物件を購入するときにおこる現象

・対策方法として物件を売却する、新たに購入する、耐用年数が長めの物件を購入するなどがある

デッドクロス後は、キャッシュフローが大きく悪化しやすいです。

対策を練らなかった場合、資金繰りが苦しくなり、最悪の場合黒字倒産にもなりかねません。

是非本記事を参考にして、デッドクロスの内容を理解し、適切な対策方法をとるようにしていきましょう。

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